北国のみどり情報局
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有限会社 川原花木園

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北海道大学のポプラ並木も被害を受ける

台風で倒れた木の移植作業



 今年9月8日、日本海を北上した台風18号の影響で北海道各地にも強風が吹き荒れました。特に札幌では観測史上最大の風速50m/secを記録し、市内にある北大植物園の原生林、大学校内のポプラ並木の被害は象徴的な出来事としてニュースでも大きく報じられました。ポプラ並木は51本のうち19本が倒れるなど27本が損傷したとのことでした。並木の復元の一環として賛否両論があるなか、移植作業が発注になり工事が進められました。実際に工事を担当されたM氏から写真を借り、当時の様子について取材しましたのでお知らせいたします。

 倒れたポプラのうち7本について「根まわし」を行い、損傷の少ない5本を根巻き、剪定養生。最終的にはそのなかから2本を選んで移植を実施しました。倒れた場所は農学部の試験農場(水田)であり、工事車両・機械を入れることが出来ないため作業を進めるうえで様々な制限を受けました。並木と畑の間には排水のためのU字溝(トラフ)があり、それを巻き込むように倒れているため、根鉢の下敷きになっている根を切り取る作業を開始するもそれが障害となって根切りチェンソーが思うように使えない。さらにこの場所は地下の水位が高く根まわしのため穴を掘ると水が湧いてくるため、ずぶ濡れになりながらの作業でした。


 



使う機械、用具すべてが桁外れに大きく
「ガリバーの世界」での作業



吊り上げ用ベルトは急遽発注した長さ20m、幅30cm
これだけのベルトを使う機会は2度とないかもしれません



根をクレーンで吊り上げたときにサポートとして必要になる位置を推定しあらかじめ養生しておく。大型樹木の移植経験が豊かな人でなければわからないこと。



下準備のため人海戦術でポプラの先を引き上げる。
現場の作業エリアが狭いためやむを得ない。




いよいよ吊り上げる段階に入る。


倒れたポプラの根鉢は楕円に近い不定形のためバランスをとるのが大変。鉢のサイズは長径6m、短径4.5〜5m、厚さ2mで推定重量20トン。樹木全体では32〜38トンにもなる。


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