北国の気候

あわただしい北海道の春

(道内と道外を比較)

 緑化を仕事にしている方、園芸家の皆さんは勿論、特に屋外での活動をしている方は短い北海道の「夏」を恨めしく思うこともしばしばでしょう。遅い春、早い冬の到来は植物にとっても大変なことだと思います。私たちからしても生長が悪いとか、花を楽しむ期間が少ないと嘆きがちですが、よいこともたくさんありますね。

 世界的にみてもこれほど四季のはっきりした地域は少ないのです。言い換えると、世界のほとんどの地域では四季のうち欠落している季間があるのです。ロシアやフィンランドでの海水浴は震えが止まらないでしょうし、ロンドンや東京で雪祭り準備委員会をつくってもさっぱり人が集まらないことでしょう。北海道では、海の家で雪像づくりの話題が出てもおかしくはありません。

 あわただしく過ぎる春は百花繚乱の季節でもあります。鳥や昆虫たちもあたふたと行き交うのでしょうか。お盆があけると残暑とは無縁の過ごしやすい秋を迎えます。そして昼夜の寒暖の差が激しい北海道では紅葉が一段と鮮やかです。冬の寒さばかり強調されますが、住めば都の代表格それは北海道ですね。

 こんなエピソードがあります。本州から転勤になり、数年後再びあちらに戻っていった人の話。奥さんが血相を変えて「えっ!北海道。絶対いやよ。あなただけ行って。」結局は渋々付いてきたそうです。それから数年後。本州に戻るときも「絶対いやよ。あなただけ行って。」

開花と紅葉時期

グラフ 平年値でみる植物の開花日、昆虫の初見日の比較(気象庁による)
(ただし北海道は、セイヨウタンポポ、エゾヤマザクラ(函館以外)、ヤマモミジでの観測)

 さて上のグラフには春と秋を代表する花の開花日、紅葉した日などを都市別に表しました。確かに北に行くほどタンポポが咲き始めモミジが色づくまでの期間(グラフの青い線)が短くなっていますね。紅葉のデータがない稚内と網走を除き、各都市どのくらいの期間になるか次の表にしてみました。

植物の活動期間

 北海道では花たちが活躍する期間が半年にも満たないのに対し、暖かい宮崎では9ヶ月もあるのです。しかしちょっと待って下さい。あまり嬉しくない猛暑の夏やうっとうしい梅雨の期間を除けばその差はあまりないのかもしれません。ものは考えようですね。

 亭主思いで道産子であることを誇りにしている奥様は、転勤直前のうなだれる夫に。「いいわよ本州でも。一緒に行きます。」そして戻るときも「勿論いいわよ。一緒に行きます。」と。