北国の気候

気候と暮らし(4)

北国独特の風物詩(2)

 悪いことばかりではありません。冬を自然の恵みとして受けとめ、したたかに暮らしているのです。北海道が得をしている例をいくつかご紹介しましょう。

イルミネーション


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天然の保冷庫

 道内道外問わず積雪地ではダイコン、白菜、キャベツなど様々な農産物の貯蔵、床に寝せて仮植えした樹木の保護に絶大な威力を発揮します。雪のなかの温度は一定で湿度が保たれるので天然の保冷庫と呼ばれています。最近では冬の間に集めておいた雪を春から夏にかけて冷房に活用しようと様々な実験と研究が行われています。


すぐそこに紅葉が

寒暖の差(日較差)の恩恵

 春を過ぎると温室、ビニルハウス内の気温が上昇し、夜間もなかなか冷えてはくれません。北海道では夜間は本州などに比べ低くなるので、切り花の色が鮮やかになる、糖度が高まって甘いメロンができるなどの長所があります。冷房は暖房に比べエネルギー消費が大きく、この点では北海道の優位性が発揮されます。

 春のサクラ前線は最も遅く秋の紅葉前線は最も早く始まります。この時期も寒暖の差が大きいため平地でも紅葉の色が美しく、わざわざ渋滞に巻き込まれながら遠くに行く必要がありません。


スキーと海水浴

スキーと海水浴

オーンズスキー場 札幌市の西隣に、古い倉庫群を背景にした運河ですっかり有名になった小樽市(おたる)があります。人口は13万人、道内屈指の豪雪地帯でもあり山が日本海まで張り出しているので、海を見下ろすところにスキー場がいくつもあります。また、海は対馬海流(暖流)の影響で比較的暖かく、海水浴場が点在しています。このなかで小樽市銭函(ぜにばこ)にあるオーンズスキー場と銭函海水浴場との距離は直線で約3キロメートル。おそらく世界広しといえども、至近距離にスキー場と海水浴場がある都市はないのではと思っています。

 これは単なる偶然ではなく気候と地形、人々の暮らしと文化が創り出した産物なのでしょう。ちなみに同じ日本海沿いの小樽市朝里、留萌市、増毛町、小平町にも4〜6kmの範囲に両方を備えた町があります。どうしても両方を同じ日に楽しみたい方は、夏のスキーは不可能なので、冬の寒中水泳を覚悟でお越し下さい。