北国の気候

気候と暮らし(3)

北国独特の風物詩(1)

 地元の人々にとっては当たり前に思っていることが、他の地域の人々にとって素晴らしいと思うこと、不思議に思うこと、理解できないことがたくさんあります。反面、中央で一律に定められた5月の連休のように、北海道の実情には適さず困っていることもあります。いくつかご紹介しましょう。

アイスバーン

アイスバーン

 真冬でも日中暖かく、夜間に凍結するような翌朝そして初冬、春先は路面がスケートリンクのようになります。車を運転していて恐ろしいのは濡れている路面だと思いこんでいたところこのようになっている場合です。地元の人はそれを予想して運転していますが、部分的にたとえば橋だけが凍結してような場合は思わぬ事故に繋がります。

 スリップしてしまうと冬タイヤであろうが四輪駆動車であろうが制御出来なくなります。こうした冬道での運転には「もうひとつの運転免許」が必要とされるくらい、想像しているのとは異なる結果を招くので、本州方面から来られて初めて運転する方は、アクセル、ブレーキを踏む感覚を十分に試してから公道を走りましょう。油断するとこんなことに。

 


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地吹雪(ぢふぶき)

 アイスバーンより恐ろしい地吹雪は経験しないと理解できません。原野では、空は晴れていても積もった雪が強風のため削りとばされて舞い上がり、視界を遮ります。もっとひどくなったときの写真を掲載しようと思ったのですが、画面が真っ白くなっているだけなので止めました。この写真のように街のなかでは電柱や標識、樹木があるため道路の状況が推測できますが、そうした目印がない原野では、土地勘のある人でも運転できなくなります。

 

 ほんとうにあった話だそうですが、飛行機で東京に帰る予定の女性が電車に乗り遅れ、タクシーで千歳空港に向かうことに。長沼町の街はずれにさしかかったとき地吹雪に遭遇し前に進むことが出来なくなったので、引き返すことを告げたところ、本州のお客さんが「あんたプロでしょう。何とかしなさいよ。」とわめき散らしたそうです。運転手さんの「私と心中したいのですか。」の一言であきらめたとか。

 

 こんな状況のとき冬の高速道路でスピードを出すのは無謀の一言に尽きます。自分だけは大丈夫、俺は運転がうまいなどと過信している人に限って事故を起こしています。多重衝突事故も後を絶ちません。運転技術の問題ではありませんね。闇夜に無灯火で走っているようなものですから。

 ところで、前が見えず怖くなって停止するのも考えものです。追突されかねません。徐行してでもでも走った方が安全な場合が多いでしょう。ただし原野の場合は交通量が少なく地吹雪のため道路に吹き溜まりが出来ていることがあり、これに突っ込むと身動きがとれなくなります。

 もっと恐ろしいことがあります。私も経験したのですが、田舎に行くと変に慣れているためかこんな天気でも平気で歩いている人がいます。油断できません。
 それではどうすればいいのでしょう。こんな日は運転しないでお茶でも飲んでいるのが一番なんです。


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寒すぎる連休

 日本全国一律に決められている五月の連休ですが、北海道ではちらほらサクラの開花が始まる時期で、朝晩の冷え込みも厳しく、みぞれ混じりの雨が降ります。日陰には残雪ありでとても行楽どころではありません。半月ないし一ヶ月すらして欲しいと思っている道民が多いのです。園芸に携わり人、庭いじりを楽しむ人は同じ事をつぶやきながらも待ち遠しかった春を迎え、動きが活発になってきます。


冬の植栽

年度末の公共工事

 官庁の会計年度は北海道でも三月末。これに合わせて三月末後期の公共事業がよくあります。屋内の私語であればよいのですが、屋外での土木工事、造園施工工事ではせっかく除雪し手順部していても朝までに大雪に見舞われることも。厳寒地では土壌凍結が厳しくスコップはおろか小型の建設機械では刃が立たず地面の掘削が出来なくなるといったことがよくあります。

 特に植物(樹木など)の植え付け、芝の吹きつけは手間がかかる割には仕上がりが悪くなり、翌春に手直ししなければなりません。せめて活着率を向上させるためにも植栽には特例を設け四月末工期として欲しいと思います。